おさるの実験室

人生は実験だ

IT(ICT)とかコンピュータとかに弱いのはどうして?(2 of 4)

前回までのあらすじ

20代、30代の人たちが意外とITとかコンピュータに弱いのはどうしてだろう、と以前から不思議だった。ITはスキルの民主化だから、若い人、持たぬ人に有利なはずなのに。 

 

 20年前にはビデオ機材も高くて、

数千万の桁でお金が必要だったのが、

今や数百万、場合によっては数万円で

そこそこ映像が作れてしまう。

 

ビジネスとか仕事の世界でも同じことで。

ワードを作れない人は随分減ったと思うけれど、

大きな人たちがパワポを作れなかったり、

エクセルをうまく使えなかったりすると、

若かったり経験が少ない人にはチャンスなわけで。

 

だいたいビジネスというのは、年齢が上だったり、

経験年数が長いと有利なように構造化されている。

というのが基本やと思うのですね。

 

例えば営業。もちろんいろんな種類の営業があるけれど、

多くの営業は「人間関係」に依存することが多く、

また案件も新規よりリピートの方が有利であることが多い。

経験の浅い人は、人間関係もないし、多くの場合は

「新規の営業に行ってこい」と言われる。

組織対応としてはしょうがないところもあって、

既存のお客さんは、前よりもサービスレベルが下がると

すぐにそっぽを向いてしまうので、なかなか

経験の浅い人を割り当てられない傾向があるのも確か。

 

そういった組織力学の詳細は脇に置いておくとして、

言いたいのは営業の場合は、経験と年数が有利に

働きがちだということ。

 

他の職種も似たところがあって、

初めてやるより2回目の方が、

2回目より5回目の方が、

うまくやれるし早くやれるし、

そうなると空き時間ができるので

次の仕事をやったり今の仕事の改善をやったり

好循環を回せて行くというわけ。

 

ところがIT、要はコンピュータ、あるいは百歩譲って

マイクロソフトオフィスでも良いんだけど、

うまく使えれば経験の逆転現象が生み出せるわけだ。

 

年長者がパワーポイントを作れないなら、

そしてパワーポイントを作ることがそれなりに重要な

(あるいは不可欠な)仕事なら、仕事を奪える。

 

あるいは年長者がエクセルは使えるけれど、

もしも遅いのだとすれば、

魔法の技のように素早くアウトプットを

出すことで仕事を奪える。

 

上位者の仕事を奪い、楽をさせてあげられれば、

自分のプロモーションも有利に働くのも

組織力学の原則みたいなものである。

 

あるいはあなたが極く単純作業を

アサインされている人だとして、

たとえばエクセルのルーチンワーク

上位者がやらないような単純作業を

アサインされているとしよう。

 

マクロの一つでも組むとか、

マクロじゃなくても良いんだけど

キーボードショートカットや

エクセルの便利機能をうまく組み合わせて

無茶苦茶速く仕事をして時間を捻出すれば

早くも帰れるし、

あるいは次の仕事の仕込みができる。

 

僕は社会人になったのが遅くて、20代終わりに

「新人」で、直属の上司が年下であることも

珍しくなかった。だからこそ、組織力学の原則

ーー上司の役に立って損なことはないーー

みたいなことに自覚的だったのかもしれない。

その際に、「見たこともない技を出す」のは

上司の気持ちも傷付けないし、大変良い手法だと

思ったものだ。

 

話を戻すと、ITとかコンピュータとか

マイクロソフトオフィスの技を磨いて、

上司の役に立ったり、仕事を奪ったりするのは

「弱き者の生存戦略」としてはとても

費用対効果が少ない(=ちょっと勉強すれば

割と簡単に優位に立てる)と思っていたのだ。

 

そんなふうに思っていたのに、

自分より若い人と接していると、

意外とITとかオフィスに弱い。

オフィスに弱いだけかと思ったら、

IT全般に対して薄らぼんやりした認識であったりする。

 

もちろん、エンジニア系の人の集団に行けば

別な気はするけれど、そういう集団じゃなかったからかな。

 

相対的に弱き者が、生存確率を向上させる戦略を

選択しないのは一体なぜなのか?

あまり頭が良くない人だからなのか、

生存戦略という視点で普通はあまり考えないのか、

あるいは私が思ってるほどITスキル向上は

有利な戦略ではないからなのか?

 

けっこう真面目に不思議だなと思って、

長年疑問を抱き続けていたのだ。

 

<続く>